・褥瘡の栄養状態をアセスメントするための血液データ・観察項目は? 褥瘡のリスクアセスメント・ツールの代表的なものには、ブレーデンスケール、OHスケール、褥瘡危険因子評価表、K式スケールがあります。 ●褥瘡とは? ページ数 224 ・褥瘡リスクをアセスメントする『ブレーデンスケール』『OHスケール』とは? ・痛みが強く触らせたがらない患者さんの褥瘡ケア 褥瘡のスキンケアには、大きく分けて予防的スキンケアと治療的スキンケアがあります。スキンケアの基本は、清潔の保持・保湿・保護。目的に合わせて、皮膚皮膜剤や皮膚保湿剤などを選びましょう。. ・体位変換後、安楽な姿勢保持と除圧が行える適切なポジショニングは? ・体位変換を2時間から4時間にするためのケアとは? ●アセスメントスケールを使いこなそう!  栄養管理 リスクアセスメント・スケールの使い方 ・【急性期の褥瘡】経過観察とケア, 褥瘡と判断したら、まずは深さ「D」が浅いか深いかを評価していきます。浅い場合はd、深い場合はDとなります。また、深さがわからないDTIの場合は、判定不能のDUとします。, 滲出液「E」の評価はドレッシング材の交換回数で評価します。滲出液が多いと皮膚障害のリスクが高まり、少ないと乾燥によって肉芽形成が阻害される可能性があることを知っておきましょう。  ドレッシング材 2.対症療法(様々の症状を軽くする方法) ●褥瘡のケア 今年は7万3000人のニガテです! 褥瘡の定義  褥瘡をケアする *2017年1月12日改訂 外用剤は、薬効成分の主薬と添加剤に該当する軟膏基剤、賦形剤、溶剤などで構成されています。外用剤は基剤の特性を利用して湿潤管理を行うことにより、最適な湿潤環境をつくり、薬効成分の効果により治癒効率を向上させます。, 体圧分散用具(マットレス)などといった用具の使用と、体位変換やポジショニングなどのケアを合わせて行うことで、体圧の分散、ずれ・摩擦を防止します。 エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など ・第1回 褥瘡の洗浄はどんなときでも水道水でよい? ・ポジショニングを行うときの6つの注意点 【ケアについてちょっとした疑問が解決できる記事】  体圧分散、ずれ・摩擦防止 2)体の自由が効かないことや、病気に対する不安等から起こる不眠には睡眠薬や安定剤を使います。 浜松医科大学第一内科 宮嶋裕明先生1.alsという病気の概略筋萎縮性側索硬化症は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気です。変性というのは、神経細胞あるいは神経細胞から出て来る神経線維が徐々に壊れていってしまう状態をいい ・デブリードマンとは? リスクアセスメントスケール 【リスクアセスメントに関する記事】  スケールを用いて褥瘡を評価 選び方や貼付の仕方などを解説する前に、まずはドレッシング材について知っておきたい基礎知識を紹介します。, ドレッシング材は、創の深さ、感染の有無、創の状態などから選びます。また、適切に選択するためには、ドレッシング材の種類や特性などを知っておくことも大切です。, 【ドレッシング材の使い方のコツ】  褥瘡のケアに関する疑問を解決, 褥瘡とは、日本褥瘡学会では「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止される。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と定義されています。, 褥瘡発生には「外力(体位変換や寝具)」「栄養状態(病的骨突出や浮腫)」「湿潤(多汗や失禁)」「自立(ADL低下や関節拘縮)」の4つの要素が大きくかかわっています。, 褥瘡ができるメカニズムには、発生に直接結びつく、身体の一部にかかる過剰な圧力・応力(静的外力)と、身体がほかの力によって動かされることによって生じる外力(動的外力)の2つがかかわってきます。これら2つの外力が皮膚の同じ部位に長時間加わることで、褥瘡は発生します。, 褥瘡の好発部位は、骨の突出部です。仰臥位では仙骨部、踵骨部、後頭部に注意が必要で、側臥位では大転子部に発生しやくなります。座位や車いすの場合は坐骨結節部や尾骨部にもみられます。その人が、普段どのような姿勢を取っているのかを確認して、予防していくことが大切です。, 患者さんが入院してきた際は、ブレーデンスケールやOHスケールなどのリスクアセスメントツールを使用して、褥瘡発生のリスクがあるかどうかを確認します。アセスメント後は、リスクに応じてマットレスの選択や栄養管理などを行うことが大切です。, 褥瘡発生の初期は、多くの場合、発赤がみられます。ただし、発赤すべてが褥瘡とは限りません。まずは、ガラス板圧診法や指押し法を用いて、褥瘡かどうかを判定していきます。 書誌情報 ・【褥瘡】栄養を補う食品の適切な選び方は? リスクアセスメントスケール 重症度評価のスケール 人工呼吸器を使用する場合であっても基本的には在宅での生活になります。人工呼吸器や吸引器には電気が欠かせませんので、地震や台風などの災害時におこる停電に備えて予めの準備も必要です。 alsの人の最後は、目しか動かせなく なります。 脳は元気なのに、体の筋肉が全く動かせなくな る為、声も出せなくなり、呼吸困難になるため、喉 に穴を開けないといけなくなります(気管切開) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。, 1年間で新たにこの病気にかかる人は人口10万人当たり約1-2.5人です。全国では、平成25年度の特定疾患医療受給者数によると約9,200人がこの病気を患っています。, 男女比は男性が女性に比べて1.2-1.3倍であり、男性に多く認めます。この病気は中年以降いずれの年齢の人でもかかることがありますが、最もかかりやすい年齢層は60~70歳台です。まれにもっと若い世代での発症もあります。特定の職業の人に多いということはありません。, 原因は不明ですが、神経の老化と関連があるといわれています。さらには興奮性アミノ酸の代謝に異常があるとの学説やフリーラジカルの関与があるとの様々な学説がありますが、結論は出ていません。次の項目で説明をいたしますが、 家族性 ALSの約2割ではスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)という 酵素 の遺伝子に異常が見つかっています。最近になりTDP43, FUS, optineurin, C9ORF72, SQSTM1, TUBA4Aと呼ばれる遺伝子にも異常が見つかってきており、次々に原因遺伝子が明らかになっています。, 多くの場合は遺伝しません。両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などに同じ病気のひとがいなければまず遺伝の心配をする必要はありません。その一方で、全体のなかのおよそ5%は家族内で発症することが分かっており、家族性ALSと呼ばれています。この場合は両親のいずれかあるいはその兄弟、祖父母などに同じ病気のひとがいることがほとんどです。そのうちの約2割は上で触れたスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)の遺伝子異常が原因となっています。, 多くの場合は、手指の使いにくさや肘から先の力が弱くなり、筋肉がやせることで始まります。話 しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状で始まることもあります。いずれの場合でも、やがては呼吸の筋肉を含めて全身の筋肉がやせて力がはいらなくなり、歩けなくなります。のどの筋肉の力が入らなくなると声が出しにくくなり(構音障害)、水や食べ物ののみこみもできなくなります( 嚥下障害 )。またよだれや痰(たん)が増えることがあります。呼吸筋が弱まると呼吸も十分にできなくなります。進行しても通常は視力や聴力、体の感覚などは問題なく、眼球運動障害や失禁もみられにくい病気です。, 1.ALSの進行を遅らせる作用のある薬:リルゾール(商品名 リルテック)という薬が使われます。  スケールを用いて褥瘡を評価 ●褥瘡とは? 3)呼吸困難に対しては、鼻マスクによる非侵襲的な呼吸の補助と気管切開による侵襲的な呼吸の補助があります。一般的には気管切開が必要な時期になると定期的に痰(たん)の吸引が必要になりますので、そのやり方など医療従者との相談が必要です。 ステージIが「通常骨突出部位に限局する消退しない発赤を伴う、損傷のない皮膚」となっています。一番重症となるステージIVは「骨、腱、筋肉の露出を伴う全層組織欠損。黄色または黒色壊死が創底に存在することがある」と定義されています。, 褥瘡が見られたら、DESIGN-Rなどの評価スケールを用いてアセスメントをしていきますが、圧迫したあとに発赤が消退しない場合は、DESIGN-Rのd1となります。ただし、圧迫後に発赤が消退した場合でも、今後、褥瘡の発生のリスクはあるため、なにが要因となっているのかをアセスメントし、ケアをしていくことが大切です。, 褥瘡の重症度の見極めで注意したいのがDTI(深部損傷褥瘡)です。圧迫とずれにより深部の軟部組織が損傷している状態のことで、紫色または栗色への変色が見られます。当初は、軽症に見えるものの時間の経過とともに深い褥瘡へと変化します。DTIかどうかが判明するのは発赤を発見してから数週間後となるため、DTIが疑われる場合は、DTI疑いとし、継続的なケアと観察が必要となります。現在は、エコーを用いて皮膚の断面をみることで、DTIであるかどうかを判定することもできるようになってきています。, 褥瘡発生後は、ドレッシング材の貼付、外用剤の使用、体圧分散、ずれ・摩擦の軽減、スキンケア、栄養管理といったケアを行っていきます。, 褥瘡ケアの知識が一通りあっても、いざ褥瘡を有する患者さんや褥瘡発生のリスクの高い患者さんを目の前にしたとき、ケアに迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。ここでは、褥瘡のアセスメントツールの使い方、発生後のケアのコツなど、それぞれの項目についてまとめました。, 褥瘡のケアを行ううえで、まず重要になるアセスメント。リスクアセスメントや褥瘡の状態の評価にはスケールを用います。まずは、それぞれのスケールでなにがアセスメントできるのかを知り、使い分けられることが大切です。, 褥瘡予防は、まず発生リスクを見極めることから始まります。 Case3 乾燥でまぶたが閉じにくくなってしまった!  褥瘡の発生リスクを確認する  長時間の臥, 「褥瘡」に関する記事をまとめました。 褥瘡の定義 褥瘡発生のメカニズム 褥瘡の発生リスクを確認する 褥瘡の発生と分類 スケールを用いて褥瘡を評価 褥瘡をケアする アセスメントスケールを使いこなそう! ◀第26回 摂食嚥下障害の臨床Q&A「口腔ケア時のブクブクうがいでむせてしまうとき、どうすればよい?」. 【体圧分散とマットレスについての記事】 褥瘡は、頸髄損傷者にとって最も注意を払わなければならない合併症の一 つと言えるでしょう。他の合併症と併せても褥瘡ができやすい条件が整っていた り、褥瘡ができてしまうと治療のために長期間の安静治療が必要となったりし ます。 家族内で発症する家族性alsは全体の5~10%程度で、それ以外の場合(孤発性als)には遺伝しません。孤発性alsでは、神経細胞内にtdp-43と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積して、神経が徐々に減少(神経変性)します。 alsの症状 ・【材料一覧】ドレッシング材の種類・特徴と使い分け 5)話しにくい、手の力が入らないなどの症状が進行すると家族や他のヒトとのコミュニケーションが大変になります。早めに新たなコミュニケーション手段の習得を行うことが大切です。文字盤とよばれるコミュニケーションボードを使用するには最初に練習が必要です(日本 ALS協会新潟県支部のホームページに文字盤入門がありますhttp://www.jalsa-niigata.com/)。 体や目の動きが一部でも残存していれば、適切なコンピューター・マルチメディア(意思伝達装置)および入力スイッチの選択により、コミュニケーションが可能です。主治医の先生や地域の保健師さん、介護保険のケアマネージャーさんあるいは各都道府県にある難病医療連絡協議会の専門員(難病医療連絡協議会・難病医療拠点病院)等と相談してください。, この病気は常に進行性で、一度この病気にかかりますと症状が軽くなるということはありません。 体のどの部分の筋肉から始まってもやがては全身の筋肉が侵され、最後は呼吸の筋肉(呼吸筋)も働かなくなって大多数の方は呼吸不全で死亡します。人工呼吸器を使わない場合、病気になってから死亡までの期間はおおよそ2~5年ですが、中には人工呼吸器を使わないでも10数年の長期間にわたって非常にゆっくりした経過をたどる例もあります。その一方で、もっと早い経過で呼吸不全をきたす例もあります。特に高齢者で、話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状で始まるタイプは進行が早いことが多いとされています。重要な点は患者さんごとに経過が大きく異なることであり、個々の患者さんに即した対応が必要となります。最近では認知症を合併する患者さんが増えていると云われています。, わが国ではALS患者さんの自然経過(自然歴)をきちんと調査したデータが少なく、今後限られた患者 数の中で有効な臨床研究あるいは治験をデザインしていく上でとても重要な課題となっています。この問題の解決を目的の一つとしたALS患者さんの JaCALSとよばれる全国調査が厚生労働省「 神経変性 疾患に関する調査研究」班(研究者代表者 東京都立神経病院長 中野今治先生)で開始されました( http://www.jacals.jp  中央事務局は名古屋大学神経内科になります)。現在、JaCALSでは、ALS研究で今まで世界的にもあまり行われてこなかった、さまざまな臨床情報と遺伝子を併せた大規模な調査研究を行っています。この研究により、新しい知見が生まれつつあり、これらは病態の解明、将来の新規治療法につながる可能性があります。2015年1月現在でALS患者さんの登録症例は 1041名となり、1000名を超えました。ALSと診断され告知されているすべての患者さんが対象となっており、JaCALSの理念にご賛同いただけるALS患者さんはぜひご協力ください。, 私たちは毎日炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミンなどの栄養素と水分を十分にとる必要があります。ALS患者さんの場合、次のようなことがもとでこれらの栄養や水分が不足しがちになります。第1には、のみ込む働きそのものが悪くなること(嚥下障害と言います)です。そうなりますと食事に時間がかかって疲れてしまい、食べ物が気管に入ってむせて苦しむ(誤嚥と言います)ようになります。そのために食事の楽しみは失われ、逆に患者さんは食事をいやがるようになり、その結果、十分な量の食べ物や水分がとれなくなります。第2には、手や腕の力が弱くなるためにすぐ疲れてしまい、十分な量の食べ物や水分を口に運べなくなります。3番目には、手足の力が弱くなってトイレに介助が必要になりますと、トイレの回数を減らそうとして飲水量を意識的に減らしがちになります。, ここでは、栄養不足・水分不足の最大の原因である嚥下障害の対策について述べます。その目標は十分なカロリー、栄養、水分をとることと誤嚥を防ぐことです。栄養をとるためには少量で必要な栄養がまかなえるように高カロリー、高蛋白の食べ物をとることです。同時にビタミンやミネラルもとるように注意します。, 誤嚥を防ぐには食事の仕方を工夫する方法と、食べ物の形態を工夫する方法とがあります。, 食事時にはできるだけ体を起こし、食事を終えた後も1時間位その姿勢でいることが望まれます。一度に口に入れる食べ物や汁物は少なくし、固形物と汁物を交互にとるのが大切です。あごを引いて呑み込むとむせが少なくなります。座れない人はあおむけで上体を30~40度起こし、頭の下に枕をして頭が少し持ち上がるようにすると良いでしょう。飲み込むときには「さあー、飲み込むぞ」と飲み込むことに意識を集中することが大事です。テレビを観たり、話をしながら飲み込みますと、むせやすくなります。食事回数を増やして1回の食事量を減らすのも良い方法です。特に呼吸困難のある場合は、食べ物で胃が張りますと呼吸が苦しくなりますので、食事回数を増やすことで息苦しさが軽くなります。, 最も良いのは柔らかくて水気があり、かつつぶつぶしたものが入っていない滑らかな食べ物です。肉や果物はピューレにして柔らかくします。パンはミルクその他の適当な飲み物に浸してから食べるようにします。缶詰は柔らかくて水分が多いため良い食品です。さらさらした液よりもとろみのある液の方がのみ込みやすいので、すり潰したじゃがいもを加えるなどして汁物にはとろみを持たせるのが良い方法です。また、増粘剤(とろみをつける食材)が薬局等で手に入ります。液体は熱いとのみにくいので、冷やすことを勧めます。, PDFをご覧になるにはAcrobat readerのプラグインが必要です。お使いのパソコンにAcrobat reader がインストールされていない場合はダウンロードして下さい。, http://www.bostonscientific.com/jp-JP/health-conditions/peg/peg-01.html. ・【急性期の褥瘡】経過観察とケア 私が専門とする脳神経内科の領域には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病があります。脳神経内科医として、はじめてALSの診断をしたときは、相当悩んだものです。「最後の最後まで意識は清明ですが、四肢は全く動かすことができない」というある意味、とても酷な病気です。私も、一人で確定診断をすることが不安であったため、先輩医師に診断の確認をお願いしたものです。, そんなALSの患者数は増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると1975年には416人の患者しかいなかったものが、2005年には7,302人となり、2014年には9,950人へと推移しています。年間1万人近い患者さんが確認されており、その数は年々増加傾向にあります。この病気は高齢者にかかりやすいという特徴があり、超高齢化社会に入ったことでALSの患者も増加しているのです。今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、ALS(筋萎縮性側索硬化症)について解説します。, ALSの有病率は人口10万人に2~7人と、世界で人種に関わらずほぼ同程度です。ALSの患者数を発症年齢別に見てみると、日本は65~69歳がピークです。男女とも50~74歳の年齢層に集中しています。この傾向は、スペイン、カナダ、イタリアなどでも同様です。, 我々、脳神経内科医は病気を理解する時に、木の上に脳が乗ったイメージをします。つまり、脳の下に木の幹があり、幹からは枝が生え、その先には葉が茂ります。まさに、木の幹が脊髄、枝が末梢神経、葉っぱが筋肉です。イメージからすると、ALSは何らかの理由で「木全体の枝の付け根」が侵される病気です。その結果、脳や末梢神経からの電気信号が筋肉に伝えられなくなります。電気刺激が伝えられないと筋肉は萎縮するため、結果的に全身の筋肉が委縮します。まさに、葉っぱが枯れてしまう様です。, 但し、障害されるのは運動神経だけのため、知覚神経や自律神経は侵されません。そのため五感、記憶、知性を司る神経には障害はみられません。そのため、皮膚をつねられたとき「痛い」という感覚はありますが、手をひっこめることができません。, ちなみにALSは、車椅子の物理学者故スティーヴン・ホーキング博士で有名になりましたが、その他にも、ルー・ゲーリック(大リーガー)、毛沢東(政治家)、徳田虎雄(前衆院議員)、ショスタコービッチ(ロシア・作曲家)、篠沢秀夫(フランス文学者)、土橋正幸(野球選手、監督)など有名人が罹患しています, ALSの初発症状は、大きく2つに分かれます。一つ目は、四肢の遠位部の筋力低下と筋萎縮から発病する「四肢麻痺」です。一方で四肢にまったく異常がなく、「飲み込みにくい」「ろれつが回らない」と言った「球麻痺」で発症することもあります。1992年から10年間にわたって実施した東邦大学大森病院のALS患者調査によると、初発部位は四肢麻痺が56%、球麻痺が44%と報告されています。, *球麻痺(きゅうまひ)とは:延髄の運動核の障害による麻痺のこと。 球は延髄の慣用語です。延髄には、舌、咽頭、口蓋、喉頭などの筋の運動を支配する脳神経核があります。そのため延髄の障害で嚥下障害、構語障害を引き起こします。, ALSの診断で重要な検査に針筋電図があります。筋肉に細い針を刺して筋肉の電気的な活動を調べます。全身の筋肉で、線維束自発電位(fasciculation potentials;以下 FP)、線維自発電位・陽性鋭波(fibrillation potentials,positivesharp waves;以下 FibPSW)といった所見を認めると、かなり高い確率でALSと診断されます。, この検査では、明らかに筋力が低下がない筋肉でも、異常があるかどうかを調べることが可能です。ALSの場合は、症状が出ていない手足や舌の筋肉でも異常を認めますから、比較的早期でも異常を検出することが可能です。, 多くのALSの進行はとても早いものです。一方で出現する症状も予想できます。よりよいQOL(=quality of life)を維持するには、常に先を読み、予測を立てた対応が必要です。, 四肢麻痺の症状改善は難しく、完全四肢麻痺の状態になります。四肢には全く力が入らず、緊張もしていないため、「クタクタ」の状態です。介助者には、全体重がかかってきますので、1人での介護は相当、大変です。, 球麻痺の進行期に入ると唾液の問題が深刻化します。放置すると、窒息や誤嚥性肺炎の原因にもなりえます。医学的には去痰剤を処方しますが、あまり解決になりません。定期的に痰を吸引する必要がありますが、通常のヘルパーには吸痰が認めれれていないため、家族への負担が集中してしまいます。, *喀痰吸引研修:平成24年4月から「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正され、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士や介護職員は、「認定特定行為業務従事者」として、これまで許可されていなかった「痰の吸引」等の医療行為が出来るようになりました。 ただし、利用者やその家族の同意が必要であり、医師や看護師との連携、医療者による監督のもとで、という条件付きです。, 嚥下リハビリは重要ですが、この病気の場合、効果はあまりありません。障害が進み十分な栄養摂取が不能となれば、PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy;経皮内視鏡的胃瘻造設術)の導入を検討します。一般にこうした判断をすぐに行うことは困難です。といって、あまり状態が悪化した状態では、判断に時間をかけることもできません。そのため、できるだけ早期の段階での情報提供が必要となります。, 胃瘻を作らないことは、つまり死を意味します。個人的な意見では、高齢者であれば、胃瘻をつくらずに自然死をお勧めします。しかし若い方の場合、胃瘻を作らないという選択はしづらいものです。その場合、胃瘻を作るなら早い方がよいことを知っておいて下さい。, 一つの基準としては、「体重の10%減少阻止基準」です。体重が発病前後のベスト体重の1割を切ってからの胃瘻造設では生命予後が著しく悪化してしまうのです。, 急激に進行するALSですが、感覚障害、膀胱・直腸障害、眼球運動障害、褥瘡の4徴候は通常現れません。他の寝たきりになる疾患では起こることがあるのに、なぜかALSでは起こりにくい兆候があるのです。これをALSの4大陰性徴候と言います。, 現在のところALSを根本的に治す治療はありません。進行抑制治療がありますが、効果は限定的で、生活の質を保っていくためにはケアが不可欠です。, 進行を抑える効果が認められています。しかし、呼吸機能が低下している場合には、予後をかえって悪化させることがあり、呼吸機能検査をした上で適応を判断します。, 病初期に進行を抑える効果が認められています。初回は2週間点滴して2週間休薬し、以後は、毎月10日間点滴します。腎機能が低下している場合などに使用できないこともあるので、血液検査などをした上で適応を判断します。大きな病院での通院は大変なので、点滴のみを地域の開業医で行うことが多いです。, 慶応義塾大学の研究チームはALSの治療につながる候補薬をiPS細胞で発見し、患者に投与する臨床試験(治験)を平成30年12月から始めました。患者1人のiPS細胞から神経細胞をつくりALSを再現。約1230種の薬を試したところ、ロピニロール塩酸塩において細胞が死ににくくなる効果があったようです。今後、患者さん自身に投与して効果を判定するようです。ロピニロール塩酸塩は、もともとパーキンソン病薬として使われているため安全性は確立されています。治験で効果があれば、早い段階で使用が可能になると思われます。, 病気の進行スピードは人によって異なり、短期間で急激に体が動かなくなる患者さんもいれば、進行がゆっくりで10年以上かけて症状が進行する患者さんもいらっしゃいます。, ただし、臨床的には「四肢麻痺」で発症したケースに比べ、「球麻痺」で発症した患者さんの進行が早い傾向があります。, 最終的には、飲み込むことも呼吸をすることもできなくなります。生きるためには、胃瘻から栄養補給をして、気管切開をして機械で呼吸の補助をします。そのためALSの患者さんの胃瘻・人工呼吸管理の決断には、本人及び家族が相当に悩むことになります。, やはり高齢者であれば、人工呼吸器はお勧めしません。導入後の吸痰など家族・本人の負担が重いためです。胃瘻も投入せず、人工呼吸も導入しなければ、脱水が進行し、徐々に意識レベルが低下して穏やかに亡くなります。私の経験した84歳のALS患者さんは、「裸の女の人がたくさんいる」とうわごとのように言いながら、穏やかにお亡くなりになりました。, しかしながら若い人の場合は、家族も1日でも長く生きていてほしいと思うものです。この場合、2種類からの選択になります。, 最近の傾向では、「何もしない」と「侵襲的陽圧換気法」の間といえる、非侵襲的陽圧換気法までを選択する方が増えてきています。, 長期に療養が必要で、かつ吸痰などの医療的な処置が必要なALSの患者さんを受け入れてくれる施設は限られています。通常の、介護施設では断られることが大部分です。そのため、本来は、療養型病床群等がその責任を負うべきですが、現実には十分に対応できないことが多いのです。詳しくは以下の記事も参考になさってください。, その結果、自宅で診ることが多くなります。その場合は、訪問診療・訪問看護・介護をフル活用することで、介護者の負担を軽減します。通常、ALSが進行すると、介護度5が認定されます。そのうえ、ALSでは訪問看護は、医療保険を使うことができます。そのため介護度5の利用枠をフルに訪問介護・通所介護に回すことができます。その点を十分理解した優秀なケアマネにお願いするようにしましょう。, 医学博士。岐阜県土岐市を中心に9ヶ所のクリニック、介護施設、リハビリ施設を運営する医療法人ブレイングループ理事長。毎月1,000人以上の認知症患者を診療する日本有数の認知症専門医。開業以来5万件以上の訪問診療、500件以上の在宅看取りを実践している。, 岐阜県の病院で短期間に多くの高齢入院患者さんが亡くなられたニュースがありました。エアコンが故障しており、放置されていたために熱中症との関連も指摘されています。 その病院は、区分で言うと療養病床(療養型病床群)でした。 …, NIPPV(non- invasive positive pressure ventilation;非侵襲的陽圧換気法):簡単にいうと、鼻あるいはフェースマスクを使用し、気管に挿管しないで人工呼吸を行います。睡眠時無呼吸の際にも同じ機械を使います。, IPPV(invasive positive pressure ventilation;侵襲的陽圧換気法):気管を切開して、直接気管支に挿管して人工呼吸を行います。導入においては、医療的な問題のみならず人生観、介護の問題などが絡みます。, 最終的には、胃瘻および人工呼吸の選択をする必要がありますが、高齢者の場合はどちらもお勧めはしません。.